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輝石の暇つぶしに遊ばれてるような……

last update Huling Na-update: 2025-05-20 19:01:58

「荷が重すぎるって……! そしてやっぱり肝心なことは言わねーのな、ケイロのヤツ……」

ケイロにも考えがあってのことかもしれないけど、ちゃんと言ってくれよぉ……王子と王様は差があり過ぎるだろうが。

テーブルに突っ伏しながら嘆いていると、どこからともなく重々しい声が聞こえてきた。

『困っておるようだな、坂宮大智』

声がした方を向けば、司書室の棚に飾られている有名選手のサイン入りボールが虹色の微光をまとっている。

事情を知らないヤツなら驚くかもしれないが、俺たちは既に把握済み。誰も驚きはしない――中に入っている百彩の輝石に顔を向け、俺は大きなため息をついた。

「そうなんだよ……ケイロが王様になるかも、なんて考えもしなかったから……ますます親に言えなくなる……」

『王族になりたくないというのだな。うむ、分かった。ならば離婚一択だな』

「なんで百彩の輝石は俺とケイロを離婚させたがるんだよぉ……仲直りして再婚した新婚を別れさせようとしないでくれよ……」

泣き言で弱々しい声を出しながらも、俺はしっかり百彩の輝石にツッコむ。

ケイロたちがこっちの世界に来た目的だった、持ち去られた秘宝・百彩の輝石。

みんなが輝石の力をバンバン使いまくっているせいで、力が枯れそうだからとマイラットに頼んで避難してきたっていう事情がある。

そんでもって、精霊と意思疎通ができて王族の精も受けてるからって、異世界の精霊たちの酷使をどうにかして欲しいと頼まれている。

こっちも責任重大だ。平凡男子には荷が重い。

……でも精霊たちは可愛いし、懐いてるし、力になってくれたし、どうにかしてやりたい。

だから分不相応な重荷をいくつも背負うハメになって、心からぶへーってなってるけど、どれも嫌だとは口にしない。

「……分かって

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